戦略は構造に従います。そこで人事・労務管理制度も戦略に合わせたモノにしていかないとなりません。
1.人事戦略の立案
近年では、時間外労働の未払賃金や名ばかり管理職に代表されるように、人事・労務に関するコンプライアンスが注目を集めています。そのため、上場審査の過程においても、労働法規を順守するための人事・労務管理体制の整備・運用に重点を置く傾向が多くみられます。
しかし、本来、これらの対応は、上場に関係なく必要なものであり、上場審査の本質からすれば、企業が継続的に成長するための経営戦略とそれを実現するための人事戦略の有無が問われるべきものです。
ヒト・モノ・カネ・情報と称される経営資源において、これらを司るのは「ヒト」です。上場も持続的に企業が成長するためには、人事戦略の立案と実行が必須であることは自明であり、どのような従業員を採用し、育成・配置していくかについては、上場審査上も明確な回答が求められると言えます。
2.人事制度の構築・運用
人事制度は人事戦略を実現する手段である。その内容は各社各様であり、経営戦略が変われば人事戦略も変わり、それに伴い人事制度も柔軟に変更する必要です。
また、どんなに素晴らしい制度であっても、それが趣旨に沿って運用されなければ意味をなしません。組織体制や経営管理基盤の整備と共に、評価者教育を中心とした運用力の強化を図ってはじめて、人事制度が機能することとなるのです。
3.人事・労務管理体制の整備
人事戦略の立案から人事制度の運用、労務リスクのマネジメントや給与計算、労働保険・社会保険実務等、上場を通じた企業の成長の過程において、人事・労務管理部門の体制強化は不可欠です。また、人事情報の管理・保管と共に上場後は適時開示も求められることとなります。
迅速かつ適切な経営意思決定を行うためには、人事・労務管理体制の整備・強化を図る必要です。