資金調達を有利に導くための優先株式について、概要を知っておいて損はない

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一般に、日本のベンチャー企業の投資のほとんどが普通株式です。これは、議決権があって、配当や残余財産の分配を持ち株に応じて受けられる権利を持っています。普通株式しか発行していない会社では、1株の株式の性質がすべて同じになります。

一方、シリコンバレーではベンチャービジネスへ投資する場合、優先株の割合が多くなっています。さて、この優先株とはいったい何者なのでしょうか。

日本の会社法上でも既に普通株式以外の株式の発行が認められています。会社法第105条第1項では株式の主な性質を次のように述べています。

(1) 剰余金の配当を受ける権利
(2) 残余財産の分配を受ける権利
(3) 株主総会における議決権

会社法第108条第1項では以下に述べる内容について異なる定めをした内容の異なる2以上の種類の株式を発行できるとしています。

(a) 剰余金配当を受ける権利
(b) 残余財産の分配を受ける権利
(c) 株主総会における議決権の範囲の制限
(d) 株式の譲渡制限
(e) 株主からの取得請求権
(f) 会社による取得条項
(g) 全部取得条項
(h) 種類株主総会での決議事項
(i) 取締役または監査役の選任権

上記のうち、ベンチャー・キャピタルが投資を受ける際に用いられる優先株式に使われる可能性のあるものは以下の4つと思われます。

・残余財産の分配を受ける権利
・会社による取得条項
・種類株主総会での決議事項
・取締役または監査役の選任権

以上より、優先株式というものは、特に利益面で優先株式の方が投資家にとっては有利なために、議決権等の権利を放棄することになります。しかし全部の権利を放棄してしまっては、起業家の暴走をとめられないこともありますから、一部だけ権利を保有しておく、そういうイメージだと思って下さい。

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