シナジー効果とは、相乗効果とも言い、2つ以上の企業ないし事業が統合して運営される場合の価値が、それぞれの企業ないし事業を単独で運営するよりも大きくなる効果をいいます。シナジー効果は以下のように分類することができます。
分類 | 内容 | DCF方式の評価に与える影響 |
売上シナジー | クロスセリング 販売チャネル ブランド効果 | 事業計画において、売上高増加、売上原価削減、販売費及び一般管理費削減等の影響によるフリー・キャッシュ・フローの増加 |
コストシナジー | 営業拠点の統廃合 生産拠点の一部閉鎖 価格交渉力の強化 間接部門費(重複部分)の削減 物流コストの削減 | 同上 |
研究開発シナジー | 研究開発投資力強化 技術・ノウハウの複合 | 同上 |
財務シナジー | 他人資本調達コストの削減 他人資本調達余力の増加 | 割引率の増減 |
シナジー効果は、支配株主が変わる、あるいは資本提携、事業提携をすることによって経営体制が刷新され、新たな戦略を前提とした株主価値がそれ以前の経営体制下における株主価値を上回る株主価値増加額として評価されます。
例えば、上場企業や優良未上場企業の資本提携や事業提携が行われる場合には、被買収企業の単独の価値ではなく、買収企業による(支配権を獲得する買い手)シナジー効果もかんがみ、売上増加額やコスト削減額を予測し、その予測に基づく事業計画により、キャッシュ・フローの増加となるため、企業価値が増加することになります。
M&A等の取引は支配権の移動による経営上の大きな影響をもたらすシナジー効果が見込まれ、通常の売買価格よりも高くなるのが一般的です。このようなシナジー効果を繁栄氏が金額は、一般にコントロール・プレミアムと表現されます。但し、企業支援や救済のために行われるM&Aの場合にはディスカウントが生じる場合がもあります。
上場企業が資本提携、事業提携を行った倍に、具体的に見ていきますと、間違いなく販売チャネルが増加し、ブランド効果を高めます。管理コストを上場企業が通常の業務の中で吸収することで、被買収企業のコスト削減が見込まれます。上場企業の資本支援で研究開発と売力が強化されます。場合によってはお互いの技術やノウハウの融合によって、より優れたものが開発できる可能性が高まります。また、上場企業がバックにつくことで、銀行に対する信用力も高まります。それは資金調達余力の増加にもつながります。