![](https://ipo-support.business-relations.co.jp/wp-content/uploads/2019/10/190211-304x202.jpg)
税制適格になるかならないかは、ストックオプションをもらう側にとってみれば非常に大きな違いになります。企業価値が小さいときに発行されたストックオプションを持っていて、上場後に企業価値が非常に大きくなるようなラッキーなときには、ストックオプションの行使で受け取る利益が数千万円、何億円という金額になることがあります。まずそれぞれの課税関係を見ていきます。
<税制非適格ストックオプション>
税制上のメリットのない場合は次の通りになります。
(1) ストックオプションの付与時
原則として課税なし
(2) ストックオプションの権利行使時
(権利行使時の時価-権利行使価額)を給与所得として課税
(3) 行使して取得した株式を譲渡時
(譲渡価額-権利行使時の時価-手数料等)を譲渡所得として課税
税制非適格の場合、ストックオプションを権利行使したときの利益が報酬や給与と同じように考えられ、給与所得として課税されます。さらに、所得税の累進税率が適用されますから、最大45%の所得税と、復興特別所得税(0.315%)と住民税(10%)もかかります。権利行使時に現金がない場合にはその資金も借りるなどして用意しなければなりません。
<税制適格ストックオプション>
税制上のメリットのある場合は次の通りになります。
(1) ストックオプションの付与時
原則として課税なし
(2) ストックオプションの権利行使時
課税なし。これがでかい!
(3) 行使して取得した株式を譲渡時
(譲渡価額-権利行使価額-手数料等)を譲渡所得として課税
行使して取得した株式を譲渡するまで課税が繰り延べられるだけでなく、譲渡所得の税率も所得税15%、復興特別所得税0.315%、住民税5%となり、給与所得として課税されるよりは有利になります。加えて、株式を譲渡したときに譲渡代金が入ってきますから、納税資金の心配もする必要がありません。
これほど税制適格にはメリットがありますので、ストックオプションの設計は慎重に、専門家のアドバイスをもらって、ミスのないように行いましょう。