税制適格ストックオプション

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税金の支払いはバカになりません。税制適格ストックオプションになるための要件を以下で見ていきましょう。

(a) 行使価格が契約締結時の時価よりも高いこと
上場企業であれば証券市場で出ている株価が時価となりますが、ベンチャー企業のような未上場企業の時価とは、企業価値評価なされた株価のことを言います。時価以上であれば行使価格がいくらでもよいのですが、あまりかけ離れすぎていると、ストックオプションを付与された人に対するインセンティブにはなりません。1,000円の時価のときに1万円の行使価格にすれば、企業価値が10倍にならないと売却益がもらえないのか、じゃ頑張っても意味ねえわ、になりますよね。手が届くくらいで設定しないと。当然、時価より行使価格が低いと税制適格とはなりません。ここに注意が必要です。未上場企業は毎日株価が動くわけでもないですし、最初の頃のベンチャー企業は赤字でしょうから、税務的にはそれほど高い時価とはなりませんから、行使価格は結構低く抑えて発行できます。ここで次の点を注意しておけばよいでしょう。
・前回のファイナンスのときの株価
・企業価値の算定結果における株価
・投資家等との交渉や合意における株価
・企業価値を算定する要因に変化があったかどうか、あればそれを抑えておく
これらを参考に、税務上のリスクが高まらないように注意しましょう。いずれにしても専門家に相談した方が良いと思われます。

(b) 無償発行
通常は無償で発行するものですから、概ね問題はないでしょう。

(c) 取締役、執行役、使用人である個人に付与されること
ストックオプションの付与が、監査役や外注先の場合には、彼らに対しての発行は税制適格にはなりません。また法人向けに発行するものも税制適格にはなりません。

(d) 契約で与えられたこと
ストックオプション関係の書類には、株主総会で決議される内容と、会社と従業員等が相対で締結する内容があり、これらの書類で税制適格ストックオプションの要件が定められていなければなりません。

(e) 行使が付与決議の日2年を経過した日から10年後以内に行うこと
ストックオプションを発行した企業が10年たっても上場できないケースはよくあります、概ね潰れていることもほとんどでしょうから10年くらいあれば十分でしょう。むしろ2年間行使できない場合、2年以内でM&Aで売却できる会社は結構ありますので、このときに問題が生じます。潜在株が行使されていない場合にはM&Aで購入する方にはリスクになります。

(f) 行使価格は年間1,200万円まで
創業したてのベンチャーにとっては行使価格一人当たり1,200万円はそれほど高いハードルにはなりません。企業価値10億円として、1%しか保有していなければ全部売っても1,000万円です。数パーセント保有していれば、この制約条件に引っかかってくる可能性もありますので注意が必要です。その場合は分割して行使すればよいだけの話です。

(g) 譲渡禁止
他人に譲渡できる条件では税制適格とはなりません。

以上のように税制適格を得るための条件が細かいので、専門家に相談した方が無難です。素人の生兵法はケガの元です。

また、もう一つ、税制適格ストックオプションの特例の適用を受けるためには、ストックオプションを発行した会社が税務署に対して、ストックオプションが付与された日の属する年の翌年1月31日までに「新株予約権付与に関する調書」を提出していなければなりません。

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