ベンチャー企業における社外監査役の役割

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社外取締役が最も機能するのは、大会社ではなく、ファイナンスを必要とするベンチャー企業の方です。この社外取締役が実績のある人であれば、投資をする方があの人がいるのならば大丈夫に違いないと勘違いしてくれるからです。

まあ、自分でも投資家として参加していれば、その範囲の中でバリューアップに協力してくれることもありますが、人をつなげてそれで終わりというパターンが多いような気がします。いわゆる顧問気取りですね。

投資家としても、投資額が大きくなればなるほど、そのままほったらかしというわけにもいきませんから、モニタリングやアドバイスのために社外取締役を派遣する必要が出てきます。投資家サイドのモニタリングであれば、このような社外取締役は株主の代表ともいえるでしょう。

日本の場合、ベンチャー・キャピタルから投資を受ける際に、社外取締役を受け入れても、上場時には引き上げるケースが多くなっています。日本の会社にありがちですが、上場時が株価の天井で後は下がると思われる会社であれば、上場後できる限り早く、株式を売却して社外取締役から外れた方が合理的です。ベンチャー・キャピタルの投資比率が上がれば、上場時やその直後に持ち分を売り切りにくいこともあります。一気に市場で売却すれば、株価の下落要因にもなります。

逆に上場後もさらに大きく成長する見込みがあれば、しばらく保有しておいた方がいいですし、社外取締役としても残ります。上場後に株価が下落しやすいのは、ベンチャー・キャピタル等の投資家が利益確定売りをするからです。一部くらいは売却されるのは已むをえませんし、それは今まで投資してくれたことに対する正当な報酬ですから、いいことです。しかしながら、全部売り切って利益を確定してしまえ、と株主から思われるのは、少し寂しくないですか。一部だけ残しておいて、もっと株価が高くなった時に売りたい、そう思われる会社を目指したいものです。

従来の日本では分散型で投資をするベンチャー・キャピタルで、なおかつハンズオン投資を行わないところがほとんどでしたが、21世紀に入り、ハンズオン型の独立系ベンチャー・キャピタルが増えてきました。アメリカでは1980年代頃から、既に独立系ベンチャー・キャピタルが増え、それが今ではほとんどの割合を占めるようになりました。そのため、日本でも、今後数十年をかけて、独立系ベンチャー・キャピタルが増えていくものと思われます。そして自ら成功した人が、個人投資家(エンジェル)となって、新しい起業家を支援してくる、ベンチャー企業の生態系が育ってくるでしょう。それに従って、投資家と起業家それぞれが投資と企業のプロフェッショナルとなり、よりベンチャーマーケットが活性化していくと予想されます。

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