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起業家は自分の好きなことをやってそれで終わり、ではおそらく成功まで至る人は少ないと思います。自分一人だけで全てが完了するビジネスであればともかくとして、数多くの人の協力が必要です。役員、従業員、取引先等。会社は自分のものだと思って、好き勝手にやっていては、誰かから刺されます。実際は起業家ではないですが、日産の元会長カルロス・ゴーンさんもその一人でしょう。
起業家の役割は新しいビジネスを創出して、自分が儲ければよいのではなく、出来る限り多くの人に関わっていただき、それら関係者により多くの幸せをもたらすことだと思います。社会的にあなたの存在は意義があるかということです。後はその人のキャパシティの大きさはあるでしょう。数名しか幸せにできない、数百名も幸せにできる、そういう器とはあるものです。そしてそれら器を無理に大きくしなくていいと思います。自分の身の丈に合った器でよいのです。
その中でストックオプションを考えると、関わってくれた役職員の今後の生活もある程度保証してあげるのもまた起業家の務めであるといえます。ある企業は4年で上場しましたが、その社長さんは、既婚者が多かったので時間をかけるわけにはいかなかったといっています。なんて素敵な社長様なのでしょうか。
そこで、会社のビジネスモデルや企業価値と、役職員の将来の人生プランを想像してみることが大切です。そんな余裕のない起業家であれば、一人で勝手にやるビジネスがいいと思いますし、そもそも多くの人を巻き込んではいけません。もちろん多くの人にとって心地よい組織というものはないと思います。会社が成長するにあたって、どうしても変わってしまう部分があります。そのためどうしても人材の新陳代謝は避けられません。
例えば上場してストックオプションを行使した結果、200万円の利益しか上げられないとしたら、会社を辞めて遊んで暮らすにはとても足りません。こういった方は今後会社に残っていただくか、それとも別な会社に転職してもらうしかありません。創業時のリスクを異形化と一緒に耐えて、土日も働き、この程度の利益しか上げられないとしたら、やる気が起きません。上場後に数千万円とか数億円のような利益を上げられれば、自分でビジネスを興そうとか、しばらく海外旅行でも行ってのんびりしようかという人もいるでしょう。〇〇さんはあと数年後に息子さんが大学生になるし、数千万円くらい利益が上がれば、息子さんを海外に留学させてあげられるかもしれないな等、ストックオプションを付与する場合には、その人の人生プランを考えてあげてください。
当然。事業の発展や実際の企業価値については、運や環境にも左右されますし、思った通りには行きません。そこまで考えても所詮取らぬ狸の皮算用かもしれませんが、自分のことを考えてくれているなという起業家の思いは、きっと一緒に働くスタッフに通じるはずです。だからこそこの起業家と困難に立ち向かう気にもなります。