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ベンチャー・キャピタルは、機関投資家等から資金調達し、投資ファンドを組成、IPOやM&Aによるキャピタルゲインが見込める企業を発掘・選定した上で投資を行い、投資後は投資先企業が順調に成長するようにウォッチしたり、投資先企業の取締役会メンバーとして経営に関与することで、企業価値向上を図ります。このようなプロセスを経てIPOやM&Aが実現できれば、投資資金を回収し、投資収益を機関投資家等に還元します。
ベンチャー・キャピタルの投資スタンスは、銀行とは異なります。融資ではないために、ハイリスク・ハイリターンを前提としています。つまり、失敗する企業は多くあっても、どこかの企業が大当たりすることで高収益を目指しているのです。銀行の融資の場合にはリターンが低いため、1社への融資の失敗をカバーするために新しい多額の融資が必要ですから、基本的には失敗が許されません。しかしベンチャー・キャピタルの場合は、10億円の運用資金で1億円10社投資を行い、9社が投資資金を回収できなかったとしても、1社が数十億円のキャピタルゲインを得られれば良しとします。投資の失敗を減らすことも大切ですが、それ以上に成功の大きさを高めることを重視するのです。
そのため、銀行とは意思決定の尺度も、投資先企業の選定も大幅に異なっています。ベンチャー・キャピタルと投資先企業との間で締結される投資契約において、IPO実現までのベンチャー・キャピタルによる経営活動のモニタリングや経営関与における契約、企業価値最大化のインセンティブを経営者に付与する契約、企業価値拡大に関するペナルティを経営者に課す契約を儲けることで、投資回収確度を高め、投資回収額の最大化や投資リスク軽減を図っています。
例えば、取締役会に参加する権利を定めた条項、投資先企業が計画通りに企業価値増大を実現しなかった場合に、ベンチャー・キャピタルが投資先企業に対して出資分を売り戻すことができる条項を設定します。
IPOを検討する経営者は、ベンチャー・キャピタルの投資スタンスや投資方法等を理解した上で、IPO準備において、ベンチャー・キャピタル活用の要否、出資比率、活用方法等を検討する必要があります。