裁判において、株価評価が扱われる場合があります。会社情報、株価評価がどのような場面で登場するか、公認会計士協会の企業価値評価ガイドラインの表をピックアップしてみていきましょう。
場面 | 条文 | 株式等保有者 | 法律が示す評価基準 |
譲渡制限や全部取得条項を株式に付する定款変更等 | 117条2項 | 反対株主 | 公正な価格 |
事業譲渡等 | 470条2項 | 同上 | 同上 |
吸収合併、吸収分割、株式交換(消滅企業等) | 786条2項 | 同上 | 同上 |
吸収合併、吸収分割、株式交換(存続企業等) | 798条2項 | 同上 | 同上 |
新設合併等 | 807条2項 | 同上 | 同上 |
譲渡制限や全部取得条項を株式に付する定款変更等 | 119条2項 | 反対新株予約権者 | 公正な価格 |
組織変更 | 778条2項 | 同上 | 同上 |
吸収合併、吸収分割、株式交換(消滅企業等) | 788条2項 | 同上 | 同上 |
新設合併等 | 809条2項 | 同上 | 同上 |
譲渡等承認請求を受けた株式企業が承認しない旨の決定をしたとき | 114条2項 | 譲渡制限株式保有者(取得者) | 譲渡承認請求時における株式企業の資産状態その他一切の事情を考慮 |
全部取得条項付種類株式の全部の取得 | 172条1項 | 全部取得条項付種類株主 | 基準については述べられていない |
相続その他の一般承継により取得された株式の売渡請求 | 177条2項 | 株主の相続人等 | 請求時におおける株式企業の資産状態その他一切の事情を考慮 |
単元未満株式による買取請求 | 193条2項 | 単元未満株主 | 同上 |
単元未満株主による売渡請求 | 194条4項 | 同上 | 同上 |
出所:公認会計士協会「企業価値評価ガイドライン」
裁判目的で株価評価の鑑定を必要とする場合は、主に以下のような場合です。
- 会社法上の株式買い取り請求権及び新株予約権買い取り請求権の行使に伴う、裁判所による株式、新株予約権の価格決定(会社法117条第2項、119条第2項)
- 会社更生法上の財産評定における構成企業が保有する株式の更生管財人による評価(会社更生法83条1項)
- 遺産分割審判(家事審判法9条1項乙類10号)における家事審判官による遺産に含まれる株式価値等の評価
概ね(1)のケースが多いかと思われます。合併や株式交換、事業譲渡等に反対する株主に、株式等の売却機会を保障するための反対株主による買取請求権行使で裁判所が関与する場面です。何らかの資本取引があったときには第三者の専門家(公認会計士か税理士)の株価評価をもらっておいた方が無難です。