新株予約権の評価の仕方

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評価対象企業が新株予約権付社債を発行している場合は、有利子負債等と同じく、その時価を企業価値から控除します。ここで新株予約権付社債の時価を評価する方法としては、新株予約権部分と社債部分を区分して評価する方法と一括して評価する方法があります。

(1) 新株予約権部分と社債部分を区分して評価する方法

(a) 新株予約権部分の評価

新株予約権の時価の算定方法として最も理論的といわれているのが、オプション評価モデルです。ここではパラメーターの一つである株価をいくらにするかが問題になります。実はオプション評価モデルで新株予約権の時価を求めるためには普通株式の時価が必要となり、普通株式の時価を求めるためには新株予約権の時価が必要になるというように、これら二つが循環計算によって同時に決定されることになります。エクセルを用いると循環参照と出てきますが、反復計算をしてくれる機能もあります。それはエクセルのヘルプをご覧ください。

循環参照を避けるためには、社債部分の時価を見積もり、新株予約権付社債の発行価額との差額を新株予約権部分の価値とする方法があります。また、オプション評価モデルに入力する普通株式の株価として市場株価を採用したり、あるいは循環計算で得られる値の範囲で一定の値に株価を固定する方法があります。これらは理論価値を求めるというよりも簡便な方法と言えます。

(b) 社債部分の評価

新株予約権付社債は、新株予約権とセットで発行されるために、その価値の分だけ利回りが低めに設定されます。従いまして、社債部分の時価を求める場合には、社債部分のキャッシュ・フローを普通社債の利回りで割り引く必要があります。このとき、普通社債の利回りが判明しない企業の場合には類似会社とどうか格付けの普通社債格付けを取得している必要があり、あらゆる企業に適用できる方法ではありません。ましてや上場していないベンチャー企業で、社債格付けが判明している類似業種というのは皆無に等しいでしょう。

(2) 新株予約権部分と社債部分を一括で評価する方法

転換社債型新株予約権付社債とは、社債と新株予約権がそれぞれ単独に存在しえないこと、及び社債を新株予約権行使時における出資の目的とすることを条件として発行される新株予約権付社債のことです。そのため、社債と新株予約権を区分して評価する方法は、転換社債型新株予約権付社債の「社債と新株予約権がそれぞれ単独に存在しえない」という条件を無視した簡便な評価方法です。

従いまして、新株予約権部分と社債部分を一括で評価する方法がむしろ理論的な評価方法と言えますし、一般的でもあります。一括法では新株予約権の権利行使によるキャピタルゲイン及び社債の償還及び利息の受け取りによるキャッシュ・フローの期待値に基づいて評価します。

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