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自社のビジネスにどのようなリスクが潜んでいるのか、よくよく考えればわかりますが、どうしても思い浮かばない場合には、上場企業の有価証券報告書の「事業等のリスク」を参考にするとよいと思います。
但し、あくまでも上場企業ですからある程度大きくて安定していることが前提ですので、中小企業、特にベンチャー企業には当てはまらないことも多いです。ですが、何もないよりは参考になります。そしてEXITで上場をお考えの企業家はいずれにしても有価証券報告書を記載しなけれならないのですから、類似業種の有価証券報告書を見ておいても損はないでしょう。ここでは株式会社セブン&アイ・ホールディングスの有価証券報告書(平成30年2月決算)の中からいくつかピックアップしてみてみましょう。
経済環境に関するリスク
(a) 経済状況の動向等
・・・当社グループは、お客様のニーズに的確に対応するべく、販売戦略に基づいた商品の取り扱い・開発を積極的に行っていますが、経済政策や異常気象等により予想外の消費行動の変化が生じた場合、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
経済政策や異常気象で消費行動が変化したときには業績が悪化するかも、と書いてあります。リスクの開示ですから、リスクしか書いてありませんが、以上のようなときにではどうするか、も質問事項に対する回答として用意しておくのです。実際には前段の「お客様のニーズに的確に対応するべく、販売戦略に基づいた商品の取り扱い・開発」を具体的に何をしているのか、そして今後それをどのように強化しようとしているのかを示すことで十分だと思います。それがリスクへの対応策になります。
その他リスクを列挙してみます。
(b) 地域性を重視した商品開発
当社グループは、お客さまの嗜好の多様性に対応すべく、地域の特性を重視した商品開発と品揃えを強化しておりますが、お客さまからの支持を期待通りに得られない場合、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
(c) 出店戦略
当社グループの店舗出店に際しては、「大規模小売店舗立地法」「都市計画法」「建築基準法」等様々な法令に基づく規制を受けています。これらの法令の改正やこれらに関して各都道府県等が定めた規制の変更に伴い、当初策定した計画通りの新規出店や既存店舗の改装等を行うことが困難となった場合や、将来の潜在的な出店候補地が減少した場合、及び新たな対応コストが発生した場合は、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
まだまだ数多くリスクが記載されておりますので、直接、自社の類似業種の有価証券報告書を参考にしてみてください。
まずはリスクを把握すれば、それに対する問題解決の方法を考えられるようになります。その問題に対する具体的な対応策を投資家に伝えれば、あなたの問題対処能力は高いとされ、投資に近づきます。