投資家の口出しにはいい口出しと悪い口出しがあります。その前に良い投資家と悪い投資家がいます。
悪い投資家というのは、実は債権者みたいなやつです。投資したんですから、投資金がなくなっても本来は仕方ないはずなのですが、経営のド素人で、その事業のことがよくわかっていない。自分の株式保全しか考えておらず、経営が上手くいかないと、あれやれこれやれ、その道のプロを紹介するぞ、なんで今月は予算が未達なのか。技術力がない、エンジニアを挿げ替えろ、とわかりもしないのに口出ししてきます。どちらかというと経営の足しか引っ張らない奴です。こういう奴に限って少額しか出さないくせに口出しの方が多いタイプです。
良い投資家というのは、投資のことをよくわかっており、上場や売り上げの向上に向けてプロのアドバイスができる人です。ハンズオン投資と言いますが、出資するだけでなく経営の面倒を見てくれます。例えば、営業力に欠けると思ったら、営業先を連れてきてくれたり、会社に合った販売代理店を紹介してくれたりします。いわゆる良い提携先の紹介ですね。CFOのような財務人財が不足している場合には、知り合いで信用を置ける人を紹介してくれる場合もあります(スパイとして送り込んでくる場合もありますが)。ハンズオン投資をやっています、とホームページに書いていますが、必ずしもこのハンズオン投資をやっているからいいとまでは言い切れませんが、面倒を見てくれるというのは心強い面はあります。ハンズオン投資の中で、足を引っ張る投資家も数多くいるので注意が必要です。つまりその投資家のアドバイスがピントがズレていて単にうざいだけというパターンです。
次に起業家の受け手の問題があります。人の話を素直に聞けて、それを参考にしよう、と思えるならば、アドバイスをくれるのは経営に役立つのですが、そうでない場合は不幸ともいえます。言いなりになってしまうのもいいことではありません。そのアドバイスが本当に自社にとって良いことなのか、悪い場合にはきちんとその理由を納得してもらえるまで伝える忍耐力も試されます。
色々書きましたが、実は起業家と投資家というのは一言で言うと「相性」の問題が大きいのです。まさに恋愛や結婚と似ています。投資家がいいと思っているアドバイスが必ずしも起業家にとって良いとも限りません。お互いにいいことを言っているしやっているつもりなのですが、どちらがいいとか悪いとかではなく、意見が合わないという場合です。ウザい投資家はそれだけでNOを突きつけたいところですが、それはまず投資を受ける前でも何となくわかります。お金を得られれば何でもいいと思ったら、起業家であるあなたの方が痛い目に合うと思うくらいでないといけません。実際は投資して全損の投資家の方が痛いに決まっていますが。なので、投資家に上とか下とかはありません。全てこの人とずっと一緒にいて疲れないか、という相性も大切にしましょう。合理性よりはフィーリングですね。中には愛よりも金を選ぶというパターンもあると思いますが。