資本政策とは何のために?

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • Pocket
  • LINEで送る

資本政策とは、上場時の株主構成を設定した上で、株式の安定比率の引き上げ、資金調達等の目的に適合するツールを選択し、実行していく戦略です。

上場を目指すための資本政策は上場基準だけでなく、会社法、金商法、税法等の法的規制の充足が前提となることに留意して進めなければなりません。資本政策を実行に移すに際しては、資金需要、業績、株価等のように変動する要素が多いため、状況の変化に応じて見直しを行う必要があります。上場までの全体像を把握するために、資本政策の策定に先立って、上場までの中期経営計画(業績見通しと資金計画)を固めることから始めましょう。

(a) IPO準備における資金調達

成長過程にあり資金需要の旺盛な新興企業においては、経営者にとって資金調達が最重要な経営課題となり、本業に集中できなくなるケースが多く見られます。実績に乏しく(信用がない)、担保もない場合は、金融機関の融資も限定的なモノになるため、株式関係のツールを使った調達(=資本政策)が必要になります。

創業者や経営陣が増資資金を拠出できるのであれば問題はありませんが、通常はお金がないために、取引先やベンチャーキャピタル等の第三者に資金提供をお願いすることになるでしょう。上場時においてベンチャーキャピタルの持ち分比率が50%を超える一方で創業者は10%に満たないといった事例も見られますが、このようなケースは事業の立ち上げに要する資金を外部からエクイティによる調達に依存せざるを得なかったものと考えられます。

取引先は取引上のメリットがあれば出資に応じる可能性がありますが、投資の可否を判断するために、会社の将来について情報提供を求めることが一般的です。ベンチャーキャピタルは、投資資金回収のための上場可能性の判断に資する詳細な中期計画等御資料提出を求めます。当該中期計画などにおいて将来の成長が認められれば、株価を高く設定することもできます。このようにIPO準備中の資本政策を使った資金調達においては、上場までの中期経営計画がカギとなると言えるでしょう。

(b)上場時の公募・売り出し

上場時には流動性を確保するために一定の株式を市場に放出する必要があり、取引所の上場審査基準を充足する上で最も重要な資本政策となります。また、上場プロジェクトの集大成として、必要資金の調達、創業者利潤の確保等、上場目的を達成するためにも重要な資本政策でもあるのです。

公開株価の決定は上場の直前であり、株式マーケットの状況によっては、予定していた価格を大きく下回る可能性があります。特に既存株主の取得価格を下回るようなケースでは、関係者の利害調整に手間取ることもあることから、証券会社、株主等の関係者との間での日ごろの情報交換が重要になってきます。

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • Pocket
  • LINEで送る

SNSでもご購読できます。

コメントを残す

*