出資を仰ぐ際の法人化のタイミングはいつか

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起業後、個人事業で運営されることは何の問題もありませんが、ベンチャーキャピタルから資金調達を必要とする場合には、早めに会社を設立しておいた方が無難です。そもそも投資家は事実上個人には出資できません。

株式会社というのは会社を、売れる商品にするということです。例えば、個人事業主のままで出資を仰ぐことは、飲食店なのに、メニューを個別販売しておらず、飲食店丸ごとしかうちは売っていないよ、と言っているようなものです。誰もお客さまにはなってくれません。カレー一杯ごちそうになりたいのに、なんで店ごと買わなきゃならないんだよ、と思いませんか。

もう少し具体的に話をすると、増資を受ける半年前には会社にしておいた方が良いということになります。

まず一つの問題点として、個人事業が上手くいったあとで、かりにその事業を会社の器に移動した場合、その事業を時価評価しなければなりません。自分の事業だからといって、自分の会社の器を100万円で作って、今まで個人でやってきた事業を、あなたの会社でそのまま事業を営むことはできません。会社であなたからその事業を買ったことになるのです。これは税務署的にそう考えます。あなたが会社へ時価で事業を売却すれば、当然あなたの懐にその対価が入ってこなければなりません。おそらくあなたはその対価を計算もしないでしょうし、受け取らないでしょうけれども。個人事業に利益が出ていたら、ひょっとして数千万円や、場合によっては数億円の値段がついてしまうかもしれないのです。そのため、利益が出る前に、なるべく早く法人化をしておいた方が良いと思います。

次の問題点として、個人事業で赤字だったとします。時価はほぼゼロだろうし、税務署からは文句を言われないだろう、と思って、1000万円で会社を設立して、そのまま個人事業を会社に移転したとします。その数日後、ベンチャーキャピタルから出資を受けるとしましょう(通常はあり得ませんけれども)。そうするとベンチャーキャピタルから2,000万円で出資してもらったとします(こういうケースも通常はあり得ませんけれども)。数日で会社の価値なんて変わりませんから、合計3,000万円の会社で、3分の2がベンチャーキャピタルが保有します。もう既にあなたは、あなたの会社だったのに少数株主になってしまいました。あなたはただの出資者の一人です。乗っ取ってくださいと言わんがばかりですね。このときにも半年くらい時期を置けば、その間に利益を出すとか、大企業との契約が結べるとか、あるいは特許の申請ができる等、会社の価値を高める出来事が起きます。そうすれば、あなたは1,000万円しか出資していなかったとしても、時価は8,000万円の会社です、ということもできます(会社の価値次第です)。そうしますとベンチャーキャピタルから2,000万円を出資してもらっても、彼らの持ち分は20%にすぎませんから、あなたの会社は8割保有しているあなたのものですね。出資というものはしてもらえればいいわけではなくて、してもらうタイミングがありますし、してもらうためのおぜん立て、少しでも会社価値を高めるアクションとアピールが必要になるのです。こういうところは素直に会社のバリューアップの専門家にアドバイスしてもらうことをお勧めします。そうでなければ、会社を安売りする羽目になりますよ。最初から外部投資家の保有割合が多い場合には、上場も難しくなります。

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