競合他社との競争戦略において、IPOが有効な戦略として位置づけられる場合があります。例えば、同じ事業領域で同じような製品・サービスを提供している競合他社が存在する場合、競合他社との競争優位を作り出すための方策としてIPOを活用するケースがみられます。
- 知名度向上による販売促進
- 信用力向上による販売促進
- 優秀な人材獲得(上場企業は安定性が高い)
事業拡大による成長戦略を実現させるために、IPOを活用することが考えられます。事業拡大のためには資金調達が不可欠なビジネスモデルの企業、事業拡大に伴う設備投資や業務効率化のためのシステム投資等が必要な企業において、中長期的な資金調達を行っていくためには、経営計画と整合した財務戦略を策定しておくことが重要です。事業拡大期の企業にとってはIPOが財務戦略上有効な手段となるのです。
内部留保と銀行借り入れの範囲内での投資で事業拡大を図り、次にIPO計画を前提とした増資を行い、事業拡大投資をして、IPOを実現していきます。さらに財務バランスが大幅改善して、銀行借入枠が拡大し、事業拡大投資を行い、さらに事業が拡大していきます。
このようにIPOを前提とした財務戦略を①上場前の増資、②上場時の公募増資、③上場後の増資等を銀行借入等とバランスよく組み合わせて策定することで、事業拡大に必要な資金を調達することができるようになります。
資金調達と事業拡大の好循環を成功させるためには、実現可能性の高いビジネスモデルを創出し、このビジネスモデルを実現されるための経営戦略、事業戦略、アクションプランの策定や経営基盤整備と併せて、資本政策や資金調達ストーリーを策定しなければなりません。
この時に重要なことは、将来の市場規模、収益、キャッシュ・フロー等の成長率、さらにこれらを前提とした株価予測です。IPO時の公募増資株数は発行済み株式数の2~3割程度ですから、IPO時の資金調達予想額は、IPO時の企業評価額予想額の2~3割前後と仮定して計画する必要があります。