株価評価

インプライド・リスクプレミアムとは何か

市場株価が正しく投資家のリスクに対して価格形成されているとした場合、現在の市場株価が反映している期待収益率やリスクプレミアムを求めることが可能になります。このような考え方で求めた市場リスクプレミアムをインプライド・リスクプレミアムと言います。そして、上記の場合に配当割引モデルのゴードン・モデル等から逆算して求める算出時点のリスクを反映したものとなります。配当割引モデルのゴードン・モデルは以下の通りです。

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ヒストリカル・リスクプレミアムの算出方法

ヒストリカル・リスクプレミアムとは、過去の株式市場の平均収益率からリスクフリー・レートを控除することで算出したリスクプレミアムのことです。過去の実績を取るために、観察機関によって大きく変わります。例えば1964年から2013年までの過去50年間を見ると6%ですが、過去20年とするとマイナス2.4%となってしまいます。

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市場リスクプレミアム

市場リスクプレミアムとは、株式市場全体の利回りとリスクフリー・レートとの差として定義されています。投資家は株式市場のリスクにより高い利回りを求めることになります。リスクフリー・レートとは国債利回りで代用しますが、国債に出したお金は概ね返ってきますが、会社の株式に出したお金は返ってくるとは限りません。

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ベータについての理論的考察

CAPMで用いられるβ(ベータ)とは、市場ポートフォリオの収益率の変動に対する個別銘柄の収益率の感応度を示す計数です。具体的にはTOPIXや日経平均等の超過収益率が1%変化したときに、個別銘柄の超過リターンがどれだけ変化するかを示すのがβとなります。

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CAPM

さて、WACCを算出する上で、実効税率はググればわかりますし、負債資本コストというのは、簡便法として借入利率や社債の利率を充てることになります。そうなると株主資本コストをどう求めるのか、というところになります。

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加重平均資本コストの求め方

DCF法の分母に登場する割引率のうち一つの考え方が、加重平均資本コスト(WACC:Weighted Average Cost Of Capital)となりますが、WACCは、株主資本コストと負債資本コストを株主資本比率と負債比率で加重平均して求めた資本コストのことです。

通常、企業は調達した資金が、株主から調達した資金であるか、債権者から調達した資金であるかを問わず、企業の様々な事業活動に投下され、回収された資金のうち、投資家に分配可能なものがフリー・キャッシュ・フローとなります。従いまして、フリー・キャッシュ・フローが株主資本と有利子負債のいずれから発生したか明確に分類することができないため、企業価値を算定するにあたって現在価値に換算する割引率としては、株主資本コストと負債資本コストをそれぞれの調達額に応じたウェイトで加重平均したWACCを用いる必要があるのです。理屈としては、キャッシュ・フローを割り引くにあたっては、そのキャッシュ・フローを受け取る投資家の資本コストを用いるということになります。

また、WACCは出資者、融資先という投資家全体の平均的な期待収益率としての性格も持っています。つまり企業はWACCを上回る投資収益率を上げることによってはじめて投資家の要求を満たすことができます。企業はWACC以上の収益率を持つ投資機会のみを選択すべきであることになり、WACCは企業の投資意思決定のハードルレートとしての役割を果たしています。

実際の算出方法を数式化すると次のようになります。

WACC:加重平均資本コスト

ROD:負債資本コスト

t:実効税率

ROE:株主資本コスト

D:有利子負債額(時価)

E:株主資本(時価)

投資意思決定のハードルレートとは申しましたが、実際に、そこまで意識の高い企業は上場企業といってもそれほど多くはありません。現実的には余剰資金の置いておく先がないために国債を運用していたりもします。また、実際のプロジェクトごとの投資収益率を計算しても、それが当たるか当たらないかもよくわかりません。そしてそのプロジェクトの投資収益率を高く見積もれば投資する、低く見積もれば投資しないとなると、保守的に見積もったプロジェクトが採用されないということになります。

国債運用について、もう少し言及しておくと、企業への投資家はキャピタルゲインやインカムゲインに期待しているわけで、投資家自身が国債運用すればいい話です。自分の投資をあえてそんな低い利回りのところに投資するのならば、その現金(余剰資金)を配当に回してくれ、と要求するのも経済的に当たり前な話になります。

割引率

割引率は、将来のキャッシュ・フローの現在価値を求めることにあります。仮に銀行からの借入で年利3%とした場合、銀行からしますと、100万円貸せば、3万円の支払利息を加えて、1年後に103万円となります。そうしますと103万円÷(1+0.03)=100万円の1.03が割引率と表現されます。

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非流動性ディスカウントやコントロール・プレミアム

非上場企業の株式評価のときには、必ずと言っていいほど非流動性ディスカウントが出てきます。これは、非上場企業の流動性の低さで売買成立の困難性を評価に反映させるために、株式評価額の一定割合を減額することを言います。非上場企業の株式は、市場を通じての売却が不可能であり、相対取引を通じて行うことになります。

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純資産法の解説

純資産法とは、コスト・アプローチの一手段であって、貸借対照表の純資産に注目して株主価値を評価する手法です。簿価純資産法と時価純資産法の二つに分けられます。

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