IPO準備開始から上場申請までのスケジュール・後半

IPO準備開始から上場申請までのスケジュールの後半部分を見ていきましょう。

申請直前事業年度開始まで

この時期に行われることは、以下の通りです。

  • 社内外における上場準備関係者の選定
    • 上場審査場の課題事項の抽出及び対応方針の決定
    • 上場時の公募・売り出しに至る資本政策の策定
    • 包括的な上場スケジュールの策定及びスケジュールに沿った体制整備・資本政策の実施
  • 申請直前事業年度

上場順位対応において、事実上の試運転期間であり、実地試験対象期間にあたり、当該事業年度におけるガバナンスの状況、経営・予算統制、組織運営、監査実績等が上場審査場での確認事項になります。

申請直前開始前までの段階において社内組織や経営体制における課題事項が整備されたうえで、当該期において上場企業に準じた合理的な運用が行われ、審査においてこの状況が客観的に確認できるように対応しなければなりません。

また、申請会社の成長性を判断するためにも、当該事業年度における業績推移は極めて重要であり、月次決算における予実対比に重大な乖離が見られることなく、売上・利益の計画が達成されるとともに、個別の費目も含めて予実分析による統制が有効に機能している状況が確認されなければなりません。そして予算と実績に乖離が生じれば、予算修正の手続きが速やかに行われる体制があるかが問われます。

  • 申請事業年度

上場申請を行う時期で、申請直前期以前から積み上げられている内部管理体制の運用実績を継続しつつ、主幹事証券による審査対応や取引所申請書類の作成、さらに公募・売り出しに係るファイナンスへの準備等をおこなうことになります。更に申請後、上場審査やファイナンスに並行して、上場会社に準じた形での四半期決算報告書等の適時開示書類の作成が要請されることから、実質的に既上場企業を上回る作業負荷があることに注意していた方が良いと思われます。

上場までのスケジュール、忘れてはならないプロセス

  • 投資者の期待

上場を達成するためには、証券会社や取引所による審査において基準を充足することが必要ですが、上場時の公募や売り出しが投資家の投資意欲を喚起しうるものであるかどうかが、上場時の初値形成からその後の株価推移において重要なポイントであることに注意して、スケジュールの判断を行わなければなりません。

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上場までのスケジュール。最初は何をする。

IPOまでのステージを大まかに区分すると、①上場を見据えた成長シナリオの策定、社会体制の整備・運用期間、②主幹事証券会社及び取引所による上場審査期間、③公募・売り出し手続き期間の3つに分けられます。

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どこの市場に上場すればいいか?

売り上げ規模が年商100億円で、利益が5億円と想定されれば、本則市場やジャスダックを狙えるのだが、本則市場の同業他社と比較すると、実績が既上場の同業上位会社の後塵を拝する状況にあることから、市場内で埋没し、投資家の目に留まらなくなる恐れがある。更に投資家から見た本則市場のイメージが新興市場に比べて成熟した企業のイメージが強く、将来的な成長が保守的に考えられやすい傾向がある。

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各証券市場の特徴

上場市場の選択は、その後の企業の中長期的な成長シナリオを描くために重要です。上場形式基準が充足できるかも大切ですが、自社の事業特性や成長性を踏まえて、それらを実現あるいは将来に向けて拡大していくためにはどのようなストーリーが求められるかと言った部分を十分に検討しなければなりません。

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