上場実務

優先株式を使って、同時に投資して異なる株価を付ける方法

通常であれば、会社の価値は同じ時期であれば同じ価値であるべきです。価値は同じでも価格は相対取引であれば別にできるのでは。確かに相対取引では個々の交渉力によって、価格が異なることは、理屈上はそうなのですが、どちらかというと税務上の都合でそういったことが難しいのです。

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フル=ラチェット方式による価格調整

前回は増資株価で株式数を調整するという方法でした。VC-Aにとってみれば、VC-Bと同じ金額を投資したのに、ちょっと解せないと思う気持ちも残ります。創業者としては、そうはいってもその時の時価で発行しているわけですから、勘弁してほしいなあと言いたいところですが、VC-Aのへそを曲げてしまうと、拒否権を発動され、資金調達ができなくなる恐れもあります。そこで創業者はバナナのたたき売りを考えます。それがフル=ラチェット方式というものです。

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投資家間の権利調整に優先株式を用いる

優先株式の条項は、投資家間の権利調整にも使うことができます。例えば、あるベンチャー・キャピタルが1株100万円で投資をした、その数か月後で別のベンチャー・キャピタルが1株50万円で投資をすることになったとします。ベンチャー・キャピタルとの力関係、事業の進捗度合いも絡むために、株価が下落するということは決して珍しくありません。

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ベンチャーキャピタルの奴隷にならないための方法とは

創業者が事業に疲れてしまったり、何らかの事情があって事業を手放したくなるケースはありますが、ベンチャー・キャピタルが投資した後ではそう簡単にやめられません。そういう気分に浸っているときに上場企業から買収の話が出てきますと、多少条件が悪くてもその申し出に応じたくなってきます。

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優先株式の取り分の考え方

前回の復習です。創業者が1,000万円出資、事業を成長させ、その後ベンチャー・キャピタルが2億円を20%の割合で出資し、時価総額10億円の会社となりました。さらにこの後でこの会社を買収したいという会社が現れ、以下の場合分けで考えました。

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優先株式の方がウィンウィンな関係なときもある

前回では、投資家が元本返済しかさせてもらえず、ムッとする場面を見てみましたが、次に前回の10億円のオファーが5億円だったとしましょう。このときでは創業者は1,000万円の出資で4億円のリターンがあります。この事業に対する見通し次第ですが、これでもいいかと思える金額です。それに引き換えベンチャー・キャピタルはどうでしょうか。2億円の出資が2割の持ち分ですから1億円に下がってしまいます。ここまでくるとふざけるなバカ野郎!でしょう。元本すら毀損しているわけですから。

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投資契約における株式の買取条項

投資契約で注意すべきは、株式の買取条項です。例えば次のような文言になっています。

「〇年までに上場できない場合には、会社と社長が連帯して株式を買い取らなければならない。」

まぢですか!

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